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国道425号 紀伊半島山中

国道425号というのは、和歌山県御坊市と三重県尾鷲市を結んでいる国道で、途中、龍神村(和歌山)、十津川村(奈良)、下北山村(奈良)を経由している。紀伊半島を横断する形の道路で、国道番号からも想像できるように、実態は急峻な山地にへばりつくような区間がほとんどだ。このため、全区間を走破する人などまずないだろう。だいたい、国道42号で串本をまわる方が距離は長いが、時間的には断然に早いのだ。

《御坊(和歌山)〜龍神(和歌山)》

1999年6月18日(金)、国道425号の実態調査を和歌山県側から行なった。まずは和歌山県御坊市から龍神村の区間だ。JR紀勢本線を越えるあたりまでは、中央線がなくなる箇所もあるものの、すれ違うには十分な幅の道が続く。JRを越えてからはすれ違い困難な狭い箇所が随所に現れてくるが、改良区間も多く存在する。しかし、酷道の雰囲気が十分にでている道路であることは確かだ。

国道425号は途中で424号と重複し、そして国道371号との重複区間を経て龍神温泉街に至る。国道371号との重複区間は中央線もあり道幅も広く、快適なドライブが楽しめる。

《 龍神(和歌山)〜十津川(奈良) 》

さて、次は龍神温泉から県境を越え、奈良県十津川村に至るルートだ。まず、分岐からあやしい。山の中に埋もれていく感じだ。木々の中、右側に渓谷を見ながら道は進むが、非常に狭く、ガードレールのない区間も随所にある。「転落死亡事故多発区間などという看板まであらわれ、非常に怖い。また、落石が多く、道路は石だらけで、プラスチックのホイール・キャップが痛んでしまった。

奈良県に入ると和歌山県側と比べると少し道はましにはなるが、それでもひどい道であることには変わらない。しかし、しばらく進むと少し開けたところにでて、かなりの標高、かなりの急斜面にもかかわらず人家があり非常に驚かされる。もちろんバス(十津川村営)が運行されているのだが、それでも本数は少なく、完全な陸の孤島だ。

その後、国道425号は一旦、国道168号との重複区間にはいる。

《 十津川(奈良)〜下北山(奈良) 》

国道168号から離れた国道425号は十津川村から下北山村へ向かう。川沿いに進んで行き、登りにかかってしばらくすると瀞峡との分岐に出る。分岐をすぎると多少のアップダウンはあるものの同じような高さを保ちつつ、山の斜面にへばりつくように道は続く。

下北山村との境のトンネルを過ぎると一気に下るのだが、トンネルを過ぎたところにある開けたところから、これからたどる道が下の方まで曲がりくねっているのが見れて楽しい。かなりの急勾配を下り、ロー(オートマ車)のエンジンブレーキでも加速してしまう。

下北山村では短区間ではあるが、国道169号との重複区間にはいる。

《 下北山(奈良)〜尾鷲(三重) 》

さて、国道169号との重複区間を過ぎ、あとは尾鷲まで進むのみだ。169号との分岐からはかなりにわたってダム湖(池原貯水池)が続く。進んで行くと、特に峠があるわけでもなく、三重県に入る。三重県に入ると道の両端に白線がひかれて整備されている印象だが、逆に道幅は狭くなっているような感じもした。

下の方まで降りると、交通量がすこしばかり増え、トンネルの中で対向車と鉢合わせし、トンネル内バックを初めて体験することとなってしまった。(中央部が高くなっているトンネルで、対向車が来るのがわからなかった。)

尾鷲市で国道42号に出たところで、国道425号の調査は終わりとなった。

すべての区間を振り返ってみると、龍神温泉〜十津川の区間がいちばんの酷道だった。地元の人によれば、この道の南に県道735号龍神十津川線というがあって、「そちらは通ったことはあるけれど、国道の方は通ったことはない。」とのことだった。

結局、途中休憩を入れて、全線走破に9時間ほどかかった。以前、国道42号で串本まわりで御坊から尾鷲まで6時間かからなかったことから、全線を一気に走破する意味はこの道には全くない。ただ、「酷道ファンのみに薦めることが出来る国道」と言えるだけだ。

《 後日、深夜に全線を走ってみました 》

2002年06月2日(日)深夜、国道425号を尾鷲から御坊の方向で全線を走り抜けました。深夜だったこともあり、対向車はほぼ皆無。国道42号尾鷲から国道169号下北山にかけては対向車ゼロ。国道169号との重複区間で1台とすれ違ったものの、国道169号から国道168号十津川までの区間もゼロ。国道168号との重複区間を含め、奈良和歌山県境までも対向車ゼロ。牛廻越で和歌山県に入り、国道371号までの区間では夜も明け始めたため、軽トラックと2台すれ違いました。国道371号重複区間以西は、朝になったため対向車は結構いました。

以上のように対向車は非常に少なかったのですが、その代わり野生の鹿と多数遭遇しました。特に多かったのが国道42号尾鷲から国道169号下北山にかけての区間。ガードレール脇にいるものから路上にまで出てきているものを含め、20頭ほどと出会いました。面白かったのは、車が近づくと逃げはするのですが、ベッドライトが前方を照らしているためか、こちらが進もうとする方へと逃げようとすること。脇へ少しどいてくれればいいのに、しばらく一緒に走る羽目になってしまいました。

道路に関して言えば、1999年に走ったときとの比較で大きなものは、下北山村内の寺垣内トンネルと龍神村内の小又川トンネルの開通でした。トンネルの銘板によれば寺垣内トンネルは2000年6月、小又川トンネルは2000年3月の貫通となっていましたので供用はさらに最近になると思います。(2003年3月1日)

《 2002年6月2日の走行記録 》

国道42号尾鷲(0:00)〜国道169号下北山(1:22)・・・所要時間01時間22分

国道169号下北山(1:28)〜国道168号十津川(2:40)・・・所要時間01時間12分

国道168号十津川(3:00)〜国道371号龍神(4:28)・・・所要時間01時間28分

国道371号龍神(4:28)〜国道42号御坊(5:44)・・・所要時間01時間16分

――全線所要時間05時間44分