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国道422号 大津〜上野

地図上で国道422号を起点から終点まで辿ってみろと言われたとして、それが一発で出来るならばその人は道好きの中でもかなりコアな方だといえる。というのも、この国道には途中2区間未開通箇所があり、また他国道との重複区間が多いからだ。数字が若い国道との重複区間では地図には若い方の数字しか付されないことが多く、全線を辿ろうとするのは困難になる。

そんな「継ぎはぎ国道」422号だが、この周辺にある他の420番台の国道と同じく酷道区間が存在する。未開通箇所を挟む区間や他国道との重複区間を除くならば、大津市から信楽町へ抜ける区間、それに滋賀三重県境の桜峠を越え、阿山町から上野市にかけての三田坂区間がそうだ。 (タイトルとして「国道422号 大津〜上野」というのを掲げているが全区間にわたって狭いという訳ではない。国道307号との重複区間や県境の桜峠まではかなり快調に飛ばせる。) 今回、この2区間を2002年2月23日(土)の午後に抜けた。

《 大津市大石付近から信楽町朝宮付近まで 》

立木観音の南で左へ折れる。 枚方へこの道は遠回りでは? しばらく続く住宅街ではこんな感じ。
見通し悪い箇所では運転は慎重に。 神社がある関係、辺りで最も狭い。 離合不可区間は断続的に続く。

国道422号へは大津市街地を走る道路を浜大津方面から抜け、国道1号をくぐったところで自動的に入った。最近走った他国道と同じく、今回も友人の車に便乗しての走行。晴れた土曜の昼下がりは、瀬田の唐橋の渋滞にはじまる調査となった。

琵琶湖から唯一流れ出る瀬田川の右岸を走ること約8km、国道422号はその流れに別れを告げ、信楽方面へと左折する。しばらくの間は1.5車線と2車線の繰り返しが続くが、それもそう長くは続かない。酷道は、予想にたがわずきっちり現れるのだ。

大津方面と信楽方面を結ぶには、この道よりも県道16号を使う方が幾分楽だ。しかし、一部のカーナビに「国道優先」などという間違った機能がついているように、地図の赤いラインを見たならば、大抵の人はそちらの方に吸い込まれる。この日も多数の車とすれ違ったが、時まさに休日、中にはそんな人もいたのではなかろうか。

川のそばを狭路が続いていく。 バイクとのすれ違いでも気をつけて。 反対向き、狭路始まりに大きな標識。

国道422号のこの付近を走っていると、道を覆うようにして新しい道が造られているのに出会う。もちろん、改良工事をやっているのだ。事実、この国道の大津市・瀬田川と別れる地点から信楽町・国道307号と重複区間までの狭い箇所は、徐々に少なくなっているようである。酷道区間は、該当する約13kmのうち、5、6km程であると思われる。ただ、注意すべき点は、改良された区間と未改良区間の差が激しいため、改良された箇所から未改良箇所へと入る時にそのままのスピードで突っ込んでしまわないようにすることだ。そのためであろう、信楽側からの狭路区間入口にはバカでかい「幅員狭小」標識が居座っている。

信楽町に入った辺りから片側1車線確保の改良済み道路になるのだが、国道307号との重複区間に入ればさらに道は快適だ。80km/hから90km/hくらいで流れる事も多い。国道307号の未改良区間だった京都・滋賀県境裏白峠も、トンネルが出来るなど改良がますます進み、枚方方面から水口方面へ行く場合、国道1号をそのまま辿るよりもこちらの方を走ることのメリットがさらに増えると思われる。

《 県境の桜峠を越え、阿山町から上野市にかけて 》

大型車は通行できませんとの宣告。 住宅街の中、国道は突然に右折。 どこにでもありそうな酷道の一コマ。
この先でまた右折するらしい。 国道本線に対して一旦停止命令。 屈曲に道路優先度の低さを思う。

国道307号との重複区間を経て、また単独区間に入ってもすぐに狭い区間が現れるわけではない。県境の桜峠にもやや狭い区間は残るが、現在拡幅工事が進んでおり、酷道が解消される日も遠くはなさそうだ。この国道の真髄を知るには、県境を越え阿山町に入ってしばらく走り、右折ポイントを越えるのを待たなければならない。

まず、右折してしばらく走ってからの軒先国道っぷりのみならず、フツーの住宅街の中にある交差点を曲がったり、時には一時停止を命じられながら進むことになる。しまいには、カートを押したおばあちゃんとすれ違ったりとのどかな風景を進むうち、国道とは一体なんだろうかと考え込んでしまうことになる。

自動車交通が念頭に置かれる前に敷かれた道を単に広げただけであるということは、上の写真下の段、一番右のものを見ればすぐ知れるというものだ。初めに道路ありきではない。まず細い道があって、広げられる側を無理矢理広げてみたという感じだ。多分このあたりに住んでいる人間にとってはこの道が国道であることなどどうでもいいことなのだろう。

薄暗い木立ちを走れば下りは近い。 対向車の登場。強引に行かず待避。 影のためにより狭く感じてしまう。

この区間のクライマックスは、上野市街地へと下る周辺にある。狭い区間が断続的に続き、対向車とすれ違うにも場所を選ばなければならない。こんな道にもかかわらず、それなりの大きさの路線バスが走っているから驚きだ。以前別の日にこの道を走った時バスとすれ違ったが、大型2種免許を持っている人間の腕の確かさを思い知らされたのだった。

坂を降りきり、関西本線伊賀上野駅の東側にある踏みきりを越えればこの区間の狭い箇所は終了だ。あとは他国道と重複したり、単独区間になったりしながら紀伊長島を目指すことになる。最終的に、この国道単独区間としての意義は、大津と信楽を結ぶこと、そして上野市と青山町を結ぶことくらいで、他の意義はほとんどないと言ってしまっていいのかもしれない。