国道の真髄を知る > [酷道実走調査] > [国道289号 甲子登山道]

国道289号 甲子登山道

このサイトでは「国道291号清水峠越え」でも触れているが、山の中を進む道、登山道であっても場合によっては国道と定められていることがある。ここで紹介する国道289号甲子(かし)登山道もそのうちのひとつだ。峠を挟む両側から車道は途中までしか整備されていない。不通区間を将来つなぐ予定で登山道(時には道なき道)が国道となっているのだ。新潟県新潟市と福島県いわき市を結ぶ国道289号には2箇所このような不通区間があって、1つは新潟・福島県境の八十里越え、そしてもう1つは福島県内のこの甲子峠となっている。(共に道路工事中。)

※ 写真の下の説明書きに「新潟側を向いて」などとあるのはどちら側を向いて写真を撮ったかです。

大黒屋の離れを少し下ったところに。
(新潟側を向いて)
左の写真の標識の反対側の様子。
(いわき側を向いて)
橋を渡れば本格的な登山道になる。
(新潟側を向いて)
これが有名な(?)登山道国道標識。
(新潟側を向いて)
左の写真の標識の反対側の様子。
(いわき側を向いて)
標識は木の棒に取り付けられる。
 

今回、この国道289号甲子登山道へ足を踏み入れたのは2003年5月10日(土)。那須高原の北側、甲子高原の気持ちの良い木立ちを西へと進めば甲子温泉へ至る。甲子峠の東、西郷(にしごう)村側の国道289号は地図上でいけば、甲子温泉直前にトンネルがいくつかあって、それが突然に終わる形になっている。ところがこの日は、そのトンネル区間にたどり着く前に通行止めの表示。旧道の方へ回される。今年のはじめに地下で地すべりが起きたか何かで、新道の方は進入禁止の措置が取られていた。

旧道をしばらく進み、最後に20%勾配の標識のある急坂を登れば、大黒屋という旅館が現れる。一瞬戸惑うが、国道289号はこの大黒屋の駐車場の方、ふもとから進んでくると斜め右前へ入っていくことになる。駐車場のどん突き、離れの建物のところで道は終わる――ように思えるが、実はそうではない。続きがあるのだ。(ここからは徒歩による。)

離れの建物の間を越え、なおも進みゆけば、川を渡る手前で驚くべきものが出迎えてくれる。なんと、一人分ほどの幅の橋のところに、ここがまさに国道であることを主張する標識が立っているのだ。さらに、川を渡って階段を上り、完全に登山道のようになったところでダメ押しの標識が!

山の中の国道、いわゆる登山道国道はいくつかあるが、そこに国道標識が立っていることは非常に珍しく、全国でもここにしかないということだ。つまり、普通はこのような登山道国道には国道標識を設置しないということ。それがなぜこのようなところにあるのかというのは、まさに日本の国道の七不思議!!

と、言いたいところですが、以上に至った経緯は、当サイトからもリンクしている井上さんの「KOKUDOU.COM」にある「KOKUDOU QUEST」、99年7月17日の項に詳しく解説されています。