> [酷道実走調査] > [国道260号 紀勢〜南島]
国道260号は、三重県北牟婁郡紀伊長島町と志摩郡阿児(あご)町を結んでいる。途中、志摩郡浜島町と同郡志摩町の間は英虞湾の上を飛び、海上国道となるなかなか珍しい国道だ。全線にわたってリアス式海岸を辿るだけに、山あり海ありと変化に富んだ景色を楽しめる。全体的に見れば整備がかなり進んでいる国道といえるだろうが、やはりリアス式海岸という地勢上、整備に時間がかかることは否めない。そんな未整備区間のうち今回は度合郡紀勢(きせい)町から同郡南島(なんとう)町にかけての酷道区間を走ってみた。
日時は2000年7月30日(日)、朝からいろいろな酷道を走ってきたため、西側からの始点、紀伊長島に到着したのは午後6時過ぎだった。折りしも天候は雨。デジカメで撮影するには少し厳しい、そんな空模様だった。(今回使った車はヴィッツ。友人と2人での調査。)
さて、紀伊長島町から走り始めたわけだが、しばらくは2車線の道路が続く。舗装はきれいとは言い難いが、気になるほどではない。また時々中央線がなくなるがすれ違いに支障をきたすような、そんな幅ではない。
紀勢町錦から国道は内陸部に向かう。地図を見るとくねくねした細い赤いラインが書いてあるが、今回訪れた時にはその横に点線で書かれている整備済みの道が出来ていて、少しも酷道のにおいはない。ある地点で左分岐の方に「この先道路崩落通行不能」という看板が置いてあって、どうやらそれが旧道のようなのだが、新しく整備された道は堂々2車線の素晴らしい道だ。その素晴らしい道を走りながら左側山腹を見ると、山の中腹に細い道がへばり付いている。多分そのどこかで崩落が起きているのだろう。
進んでいくと、新しいトンネルが我々の前に姿をあらわす。どうやらこれで錦峠を越えるようだ。(「錦望トンネル」とかなんとかいう名前だったと思う。) あっけなく峠を越え、しばらく行くと左から細い道が合流し、その後国道は右へと分岐する。ここから南島町方面へと向かうのだ。
※ 写真の下の説明書きに「阿児方面」などとあるのは、どちら側を向いて写真を撮ったかです。
右分岐を過ぎてから。(阿児方面) |
標識が虚しく自己主張。(阿児方面) (2002年11月3日 撮影) |
鍵穴的棚橋トンネル。(阿児方面) (2002年11月3日 撮影) |
分岐を過ぎると一気に狭くなる。木立ちが空を遮り、本当は十分明るいにもかかわらず薄暗い、そんな道を進んでいく。すれ違えないところが続くが、待避所は時々設けてあり、そこに入ればすれ違いに苦労することはない。以前ここを通ったことのある友人によれば、狭いわりに異常なほどの交通量があるとのことだったが、今回我々が通った際は時々対向車は来るものの、異常といえるほどではなかった。その友人が通ったのが朝であり、我々が通ったのが日曜日の夕方ということがその理由かもしれない。
しばらく行くと、峠だ。暗かったから一瞬分からなかったが、目の前には非常に狭いトンネルが口をあけている。まるでかぎ穴のようだ。この狭さ、国道であることを考慮すれば異常なものだが、救いは全長が短いために対向車が来ているかどうかがすぐに分かることだ。トンネル内で鉢合わせ、ということにはならない。
棚橋TNの南島町側。(長島方面) (2002年11月3日 撮影) |
トンネル抜けて一休み。(長島方面) |
「交互一方通行式」。(阿児方面) |
トンネルを抜けるとあとは下りていく。狭い状態は相変わらず続くが、交通量があまりなく、また暗くなってきてこちらも対向車もライトをつけているため、お互いの存在が遠くからでもわかり、あまり気を遣わずに進める。しばらく行くと、狭路区間は終わり、整備済みの2車線道路へと変わる。
あとは2車線が続き、快適に走ることが出来る。広めのトンネルを幾つも抜け、先へと進めるのだ。ただ、南島町の中心部(だっけか?) (→ 注)で狭いところがあるが、そこは「交互一方通行式」の信号で交通整理がなされていて、問題はない。まあ、国道に「交互一方通行」として常に交通整理がなされているというのは、不思議な感じがしないでもないが。
地図を見ると、まだ先にも狭いと思われるところがあるが、もう既に暗くなっているので調査を終えることにした。国道260号には途中で別れを告げ、県道22号線へ抜けたのだ。今回行けなかった部分については、いずれまた行きたいと考えている。
注:「交互一方通行式」の信号で交通整理がなされているのは、南島町の中心部ではなく慥柄浦(たしからうら)地区である、との指摘を頂きました。訂正致します。(2001年8月16日)
紀勢南島TNの紀勢側。(阿児方面) (2002年11月3日 撮影) |
紀勢南島TNの南島側。(長島方面) (2002年11月3日 撮影) |
この先中央線は消える。(阿児方面) (2002年11月3日 撮影) |
棚橋トンネルを含む紀勢町から南島町にかけての幅員狭小区間ですが、 2002年8月にバイパスとなるトンネルが開通しました。その名もそのまま「紀勢南島トンネル」(長さ1550m)です。ただ、トンネルの東側が中央線のないいわゆる1.5車線なので、暫定的なものかもしれません。時間としては10分から15分ほどの短縮のようです。(2003年3月1日)