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国道169号 瀞峡付近

国道169号は奈良市から桜井市、吉野町などを通り、和歌山県熊野川町で国道168号に接続している 国道だ(国道169号そのものとしては新宮市まで)。以前は狭隘な区間が多く、10年以上前の連休時 には大淀町から上北山村河合まで3時間以上かかったこともあるが、ダム関連の改良などを経たことにより、 時間帯によっては大淀と国道42号を1時間40分ほどで結ぶことも出来る快走路になっている。

かつては、現在国道309号として国道42号まで接続している区間が国道169号だったこともあり、 そうでなかった和歌山県北山村から熊野川町に至る区間は、1996年7月に奥瀞道路が開通するまでは 車で相互間を行き来することが出来なかった。しかし車で通行可能になったとはいえ今でも、奥瀞道路 として整備された非常に高規格な部分を除いては、1車線の狭隘区間が連続するかなりの「酷道」なのだ。

(更に付け加えると、かつては下北山村内においては、現在の奈良県道229号上池原桑原線のルートが 国道169号だった。)

《 国道168号宮井大橋から国道311号分岐までの区間 》

国道169号へは宮井大橋を渡る 宮井大橋の上はあまり広くない しばらく走ると1車線に減少する
幅員減少箇所は速度超過注意 道路脇行先看板は和歌山仕様? 国道311号との分岐地点

2005年8月1日(月)、国道169号のうち取り残されたかのように未改良のままの区間、 和歌山県熊野川町から三重県熊野市の間を走った。時間帯は午後。車はレガシィ。国道169号への 国道168号からの分岐は熊野川を渡る宮井大橋だが、この橋からして微妙に狭い。 普通車であればすれ違う事は出来るが、対向に大型車が来ると離合困難ではなかろうか。 分岐に気をとられることなく、橋の上にも目を向けたい。

橋を渡って少しの間は2車線だが、まもなく車線は減少する。北山川に沿ってしばらく走っていくと、 国道311号との分岐点に到達。国道169号北山村方面は左へ、国道311号熊野市方面右へ 進むことになる。6年前の4月にこの区間を走ったときは、分岐双方ともにあまりに狭く、道なりに 進むと国道311号側へ行ってしまったように記憶しているが、この間にどうも拡幅されたらしく、 国道169号へ何のためらいもなく進むことが出来た。

《 国道311号分岐から田戸トンネルを抜けるまでの区間 》

左側は脱輪しているわけではない これくらいの幅、雰囲気が続く ダートになっているのは工事ゆえ
ガードレールがないところもあるが 白線が引かれている所は結構ある 奥のトラックはこちらを待っている

今回の区間について全体を見渡してみると、国道311号との分岐から田戸トンネルまでの間が 一番の狭隘路となっていて、薄暗い森の中をカーブと勾配の連続で進んでいくことになる。番号が若いと いうこともあるのか、舗装状態や道路両脇の白線、ミラーなどの設置状況はおおむね良好ではあるが、 ガードレールは無い区間も多い。途中100mほどダートがあったが、これは工事が行なわれていた からだった。

現道の舗装工事に加えて、新しくトンネルを掘ってもいるらしく、その関連であろうか大型ダンプカー とも離合した。といっても、交通整理員がおかれていて途中の広くなっているところで待機したので 延々バックさせられるということは無かった(想像すると背筋が寒くなるが)。しばらく行くと、 分岐点に至り、標識に従って右折すると中途半端な幅員で怪しげに暗い田戸トンネルが現われる。 これを抜ければ、狭隘区間はひとまず終了。

この、国道311号から田戸トンネルまでだが、直線距離で行くと4kmほどだが実際には 約8kmあるようで、この日は20分の所要だった。

《 奥瀞道路(整備区間)から国道309号接続地点までの区間 》

奥瀞道路・東野トンネル内を快走 高規格道路はぷっつりと途切れる 道の駅の西側分はこの写真まで
道の駅から七色ダムまで広狭混在 1.5車線道路も結構ある 観光バスが走ることに驚いた

田戸トンネルを抜けて坂を下ると、急激に道の造りが良くなる。以前はまだ少しだけ狭隘区間が 続いたのだが、昨年(2004年3月)葛川大橋が完成したことにより奥瀞道路が延長、数百m だけ整備済み道路が長くなった。ここから先、北山村小松までの約4kmはこれまでとは打って変わって 快適に走ることが出来る。ただしこの整備済み道路、突然終わるので調子に乗り過ぎないよう注意したい。

奥瀞道路の東側も、確かに狭いし離合不可能な箇所も続く。しかし、国道311号から田戸トンネルまでの 区間に比べればまだましで、緊張感もそれほどではない。しばらく進むと道幅が広がり車線も増え、 道の駅「おくとろ」に到達する。このさき七色ダム付近までは2車線や1.5車線の道が続いて走り やすい。ちなみに吉野大淀方面へは七色付近から村道へと左折、2kmを越えるトンネルが2003年に 開通したのでこちらを使うとよい。

七色ダム手前の暗く曲がったトンネルを抜け、ダムを渡ると、ダムサイドのやや狭く曲がりくねった道を 行くことになる。この日は観光バスのお尻にくっついて行ったのでかなり楽だったが、対向車は後退を 余儀なくされたときもあったようだ。しかし、この道をぎりぎりバックしつつも進みゆく観光バスを 見ていると、5ナンバーサイズの車で走りながら「酷道」について語る自分が多少情けなくもなるので あった・・・。

今回の区間の所要時間を付記しておくと、国道168号分岐から国道311号分岐までが約10分、 国道311号分岐から田戸トンネルまでが約20分、奥瀞道路整備済み区間が約4分、奥瀞道路東端から 道の駅までが約10分、道の駅から国道309号までが約25分であった。

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